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淑女的浪漫風

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伊藤野枝




伊藤野枝は、明治生まれの作家で女性解放運動の活動家である。
許嫁から援助を受けて女学校を卒業したが、許嫁を嫌い、学生時代の英語教師であった辻潤(尺八演奏家、後にダダイストの作家となる)の元へ走り、傾倒していた青踏社に仕事を得て、辻との間に二人の男子を産む。

しかし、生活の不安定さに加えて辻の不倫(野枝の従姉妹と関係した)も有り、彼女は家を飛び出し、連れて出た次男を里子に出してから、当時気炎を吐いていた社会主義活動家大杉栄の元へ向かった。

大杉栄には、妻の他に、愛人でスポンサーの神近市子(新聞記者)がおり、もつれた四角関係の末、嫉妬に駆られた神近市子の大杉栄刺殺未遂(日蔭茶屋事件)と、妻の離婚で野枝は恋の勝利者になった。

野枝は大杉との間に5人の子をもうけながら、女性として社会に問題提起をしてゆくが、大杉の同士や青踏社の先輩である平塚らいてうなどは、彼らの「フリー・ラブ」には同調せず、野枝は日蔭茶屋事件の後、大杉の同士に泥道で突き飛ばされたそうだ。

そして、関東大震災のすぐ後、大杉栄と、その甥と共に憲兵に連れ去られ撲殺された。享年28歳である。
この事件が大事になった理由の一つに、大杉の甥である橘宗一が米国籍を持っていた為、米国大使館から問題提起があったからとも言われている。

この甥が、もし大杉や辻との間に出来た野枝の子供であったなら、この事件は、震災時のゴタゴタの中で闇に葬られていたかもしれない。


閑話休題
野枝の印象を、辻潤は「ふもれすく」の中でこう記している。

 野枝さんは十八でU女学校(上野女学校)の五年生だったが、僕は十ちがいの二十八でその前からそこで英語の先生に雇われていた。
 野枝さんは学生として模範的じゃなかった。だから成績も中位で、学校で教えることなどは全体頭から軽蔑しているらしかった。それで女の先生達などからは一般に評判がわるく、生徒間にもあまり人気はなかったようだった。

 顔もたいして美人という方ではなく、色が浅黒く、服装はいつも薄汚なく、女のみだしなみを人並以上に欠いていた彼女はどこからみても恋愛の相手には不向きだった。

 僕をU女学校に世話をしてくれたその時の五年を受け持っていたN君と僕とは、しかし彼女の天才的方面を認めてひそかに感服していたものであった。

 もし僕が野枝さんに惚れたとしたら、彼女の文学的才能と彼女の野性的な美しさに牽きつけられたからであった。

 恋愛は複雑微妙だから、それを方程式にして示すことは出来ないが、今考えると僕らのその時の恋愛はさ程ロマンティックなものでもなく、また純な自然なものでもなかったようだ。
(中略)

それに僕はそれまでに一度も真剣な態度で恋愛などというものをやったことはなかったのだ。そうして自分の年齢を考えてみた。三十歳に手が届きそうになっていた。

 一切が意識的であった。愚劣で単調なケチケチした環境に永らく圧迫されて圧結していた感情が、時を得て一時に爆発したに過ぎなかったのだ。自分はその時思う存分に自分の感情の満足を貪り味わおうとしたのであった。それには洗練された都会育ちの下町娘よりも熊襲の血脈をひいている九州の野性的な女の方が遙かに好適であった。

引用以上

野枝は己の心の思うままに生きた、情熱的な女だった。
その為には人の男を奪う事もしたし、子供も捨てた。
我が儘で傲慢で野放図な女ではあるが、こう言う人物が、現代の日本女性に自由をもたらす礎になったのも事実である。



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