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有島武郎のファム・ファタール

札幌には「芸術の森」という公共の施設が有り、ここの広い敷地には幾つかの美術館や工房などが建てられ、広い自然公園内を散策しながら色々なアートを楽しめる良いところです。

そしてこの敷地内には、北海道とゆかりのある作家、有島武郎の邸宅が移築、復元されています。大正時代にデザインされた木造二階建ての建物は、とても瀟洒で意外と中が広く、一時は北大の寮に使われていたのも納得の造りです。

旧有島邸


ちょっと冬は寒そうですけどね。
建物の中には、有島武郎が、綺麗な奥様や可愛い三人の子供たちと撮った写真なども飾られいています。

さて、この有島武郎が若い既婚の女性編集者と不倫の果てに、三人の男の子を残して情死したことは有名なお話。
有島武郎は、奥様が三人の子供たちを残して亡くなられた後、けっこうあちこちに愛人を作っていたようなので「或る女」に出てくる、彼自身をモデルにしたと言われる誠実で真っ直ぐなクリスチャンの青年と、その実像はだいぶ違うようです。

心中については、Wikiや実弟里見弴の「安城家の兄弟」で詳しく知る事が出来ると思いますので、ここでは書きませんが、代わりに同時代を生きた文豪、永井荷風の日記「断腸亭日乗」から、この心中事件についての興味深い一文を引いてみます。


大正十二年八月朔。
夜帝国劇場に徃く。狂言は河合井伊一座の壮士芝居なり。暑気甚しければ廊下にて涼を納め狂言は見ず。
長崎小山内の両氏と弥生に飲む。新橋の妓じつ子とかいへるもの、過日有島武郎と情死せし秋子の夫に同情し、近日結婚する由。
妓輩の談によれば、じつ子は先年英国皇族来朝の際、その枕席に侍し莫大の金を獲たり。之を持参金となし秋子の良人と結婚せば必世に名を知らるべしとて、名を売りたき一心にて結婚を思立ちしなりとぞ。
果して然らば当世の人情ほど奇々怪々なるはなし。


なるほど、確かに人の欲と愛憎は奇々怪々。


後年、有島武郎の代表作の一つ「或る女」は映画化されますが、これは国木田独歩の最初の妻をモデルにした小説です。
彼女は自分の欲望を満たす為なら、他人を踏みつけにしても構わない淫婦として描かれています。(あくまでモデルですが)

面白いのがこの映画のキャストで、主役の今日マチ子に惚れ込み、妻子を捨てる船乗りの役を、有島武郎の長男、森雅之が演じていること。
また、熱烈な恋愛結婚の果てに妻に去られたヒロインの前夫を、やはり自死した文豪芥川龍之介の遺児、芥川比呂志が演じていることも、何だか因縁深いと言うか、意図的なキャスティングに思えます。

この映画のメデイアが、探しても見つからないのが残念ですが、「浮雲」で、森雅之の渋い男前が見られますよ。


 





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